いただきますを言いたい

 

「ご馳走様でした」

とは、どういった意味があるかご存知でしょうか。

馳走には、<走り回る>とか<馬を馳せ走らせる>という意味があります。
食事を作っておもてなしするために、食材を集めるのに馬を走らせたり、台所で走り回ったりしてくれた人たちへの感謝の言葉です。もちろん、その食材を作ってくれた人、採ってくれた人など、目の前にある食事に関わってくれた方すべてへの感謝です。「いただきます」も「ごちそうさまでした」も、私たちにとってもう当たり前の言葉で、普段言っているかいないか分からないくらい習慣がついていて、呼吸をするように無意識のうちに発しているかもしれない。
小さい子どもに「いただきますした?」って聞いているお母さんの言葉で、ハッとしました。ちゃんと、いただきますしてるかな??

私は精進料理を習い始める前までは、精進料理ってなんだか厳しいイメージで決まりごともたくさんあって、作法を覚えるのも難しい。さらに、「食べることも修行」なんて言われたら美味しく楽しんで食べられないんじゃないかと思っていました。実際に、厳しい修行の一環として食事を作ったり食べたりされているお坊さんたちはそうなんだと思いますが、私の師匠は「そんなに厳しく取り締まらなくても、作るときも食べるときも感謝することを大切にすればいいだけなんですよ。今まで私たちがしてきた当たり前のことを忘れなければいい。」とおっしゃっていました。

精進料理の会では、平等寺の副住職に食事作法を教わりながら精進料理をいただきます。その中の、「食前のことば」に、

一滴の水にも天地の大いなる恵みがあり、一粒のお米にも萬民の努力がこもっております。私が生きていることはこれらの恩恵によるものです。いただきます。

とあります。

この言葉をきっかけに、この料理はどんな風にして作られたのか、この野菜はどんな風にして育てられたのか、たくさん太陽や雨を浴びて育ったのか、など食事を目の前に想像し、感謝をする。

毎日ご飯を作って、食べて、働いて。あっという間に通り過ぎていきます。慌ただしい日々の中、すこし足を止め、一呼吸置き、いただきますを言う。食べ物に集中して食事する。そしてまた一呼吸置いてごちそうさまでした。

精進料理の会で、姿勢を整えて、ゆっくり食事してみませんか。

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